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秋のハイキングで突然の大雪と野犬襲来におののいた!子供時代の体験談

2024年9月1日

小学生の頃に父親と弟と一緒に行ったハイキングでの出来事になります。

タイトル通りに「山頂で大雪に見舞われた」「野犬に襲われた」ということ。

突然の両者の襲来に「ひえええええっ!」とおののいた話になりますよ。

今でも覚えている衝撃の体験でしたね。

今回はそのことについてを記憶の流れに沿って語っていきたいと思います。

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秋の穏やかに晴れた日のハイキングのはずだった

今から30数年前のこと。

父親に連れられて、私と弟は近隣の山にハイキングに赴いていました。

山深い田舎で育った父親は無類のアウトドア好きで、我々兄弟が小学生になると、毎週のように野球やらキャンプやらハイキングやら釣りやらに連れて回っていました。

母親は家で過ごすのが好きな、父親と正反対な性格だったので、週末は常に男の親子3人で行動していたという感じです。

そのときも近隣の山に登ろうということになり、簡単な野外装備だけで出かけることになりました。

山といっても日帰りのハイキングで出かけられるくらいの標高なので、まったく警戒心もなく、ちょっとした冒険程度の気分。

そこにはよく岩登りで赴いていたので、慣れた場所でもありました。

しかも季節は秋。

10月の半ばごろの穏やかな日で、雲もまばらに晴れ渡る空のもと、我々3人は意気揚々と電車に乗って最寄りの駅まで向かったのです。

秋晴れが爽やかな山のふもとに来ると、慣れたハイキング道を散歩のように登り始めました。

天候も良く、我々親子と同じように電車を降りて、ハイキングに向かう人も結構いました。

緩やかな山道を弟とふざけながら歩く私と弟の前を、無口な父親は周りの景色を楽しみながら颯爽と進んでいました(当時はまだ30代)

そうこうするうちに途中で休憩をし、持ってきていたリュックからお菓子やお茶を取り出して食べたり飲んだりしていました。

「ああ、きれいな空だなあ」

おやつを頬張りながら見上げる秋の空の美しさに、子供ながらにぼおっと見とれていたひと時。

けっこう物思いにふけることが多い性格の私とは違って、父親似の楽天家で落ち着きのない弟は「うわあ」とかなんとか言いながら、休憩時間も口に菓子を頬張ったままでその辺りをうろちょろしていました。

父親はさすがに大人の態度で静かに座って、お茶を飲みながら山を見上げていましたが、きっとこの時は「あの花を持って帰ったら、良い植木の材料になるだろうな」とか考えていたに違いありません(自宅前に手作りのガーデニングラックに10個くらいの植木を設置して、母親にうっとおしがられていました)

休憩が終わり、立ち上がって歩みを再開し始めたときは、時間は1時くらいになっていました。

家を出たのが10時くらいで、駅に到着したのが11時すぎ。

そこから登り始めて2時間ほど経過していたことになります。

普段なら山頂に直線距離の岩山のコースを上るのですが、今回は別のハイキングコースに迂回していたので、いつもより時間がかかる感覚でした。

天気は相変わらず良く、同じく山頂を目指す人も度々見かけます。

このまま順調にいけば、3時には山頂に到着するはずです。

そう思い、いつものようにのんびりと歩いていくのでした。

突然の大雪に野犬の襲来!

やがて山頂付近の岩山までたどり着き、一旦ここで休もうということになりました。

時間を見ると2時半すぎ。

もう少しで頂上という時間です。

そこはハイキングコースとロッククライミングのコースの合流地点になっていて、ちょっとした広めの山道が広がっていました。

背景に岩山があり、その前の窪みで軽い食事をとろうということになったのです。

その日はお菓子の他に、キャンプで使うストーブと鍋、レトルトご飯とカレーパックを持ってきていたので、それを作って食べることになりました。

皆で食事の準備をするうちに、

「ん?」

と、上から何かが降って来るのを感じました。

見上げると、大粒の白いものがチラホラと頭上に舞い始めています。

「雪だな」

父親が気づいて、同じように上を見上げていました。

山は天候が変わりやすいと言いますが、まさにこの時はそれが当てはまる急な天気の変化。

それまで秋晴れの穏やかな空だったのが、少し雪が舞っていたかと思うと、たちまちのうちに大雪に変わってきたのです。

「おおおお!これはヤバいぞ!」

父親が叫ぶと同時に、自分と弟も慌てました。

すでに目の前には火を興したストーブに水を入れた鍋があり、その中でレトルトカレーとご飯のパックが入って湯気を立てていたからです。

けっこうお腹が空いていたので、早く食べたかったのですが、かなりの降雪が来たので、このまま食べられるのだろうかと心配になりました。

すると父親は「まあ大丈夫だろう」と一言だけ言って、まったく慌てることなく、沸騰した鍋の中からパックを取り出して、自分と私たち兄弟の皿に盛り始めたのです。

そのまま降り注ぐ雪の下で平然とカレーを食べる父親。

弟も父親に負けることのない「楽天家」(何も考えていない)なので「頂きます!」と元気よく手を合わせてカレーを貪り始めました。

私は「これ大丈夫かな?雪の量が増えているのだけど・・・」とビビりながら、目の前の皿に手をつけようとしました。

そのときです。

突然背後から「ワンワン!」という鳴き声が聞こえたのです。

「えっ?」と思って振り返ると、そこには数匹の犬が私たちを囲んでいました。

同じような黒っぽい犬で、降りしきる雪の中をグルルルルと唸り声をあげながら、食事をするこちらを睨んでいます。

最初は誰かの飼い犬かと思い、周りを見渡したのですが、誰もいませんでした。

というか、むしろ周りはほぼ真っ白で、降り注ぐ雪のために山の景色すら見えないほどになっていました。

強くなってきた風と目の前の視界を遮るほどの雪。

その向こうには黒い犬が数匹、ワンワンと吠えながら、私の近くににじり寄ってきます。

「お父さん、あれ!」

と恐怖に駆られた私が前に座っているはずの父親に声をかけると、姿がほとんど見えないほどの白い視界の向こうで「おお!野犬だな!あれは!」という声が返ってきました。

スッと立ち上がる音が聞こえたかと思うと「行くぞ!」という一言。

私は再び「えっ!」と思い、手に持っていた皿を思わず見つめました。

「でも・・まだ途中だし・・・」

「ええから、置いとけ!このままだったら襲われるぞ!」

という父親のいつにない緊急の声色。

私は急速に恐怖を覚え、食べかけの食器を置いて、そのまま立ち上がり、父親のいるほうに移動しました。

「ゆっくり来い。慌てると噛まれるぞ」

静かに言ってくる父親に向かって頷き、背後にいるはずの野犬に注意を向けながら、そろりそろりと歩き始めます。

背後で野犬が「ワンワン!」と吠えながら近寄って来るのが分かりました。

父親の言うとおりに、野犬を刺激しないよう、ゆっくりとその場を離れようとしたとき、

「うわあ!」

という声がして、弟が白い雪の向こうに走り出す音が聞こえました。

「こら!走るな!」

という父親の注意にも関わらず、まだ幼かった弟は恐怖に駆られたのか、その場を離れて岩山のほうに走っていくのが見えました。

途端に背後にいた野犬がこちらに向かって走って来るのが分かりました。

私も恐怖に駆られてしまい、弟が走り去った方向に全力で駆け出すことに・・

背後で父親の「止まるな!そのまま岩山の壁によじ登れ」という声が聞こえ、それに従って私は目の前にあった岩山の壁を登り始めました。

雪のせいであまり視界が利かなかったのですが、登り慣れたいつもの岩壁だったのが幸いし、少し上にある窪みにまでたどり着くことができたのです。

その場所には弟がおり、二人で「危なかったな」と、顔を見合わせてホッと一息つきました。

少し下の岩場のふもとでは、父親が「あっち行け!」と野犬を追い払っている声が聞こえてきましたが、5分ほどその場に潜んでいると、降り注いていた雪の量が減り、真っ白だった視界がウソのようになくなってきました。

下から「もう大丈夫だぞ」という父親の声が聞こえてきて、二人して降りると、さっきまでその辺りを囲んでいた野犬の姿は消えていました。

「お父さん、さっきの犬、なんだったの?」

弟が聞くと「この辺の野犬だな。誰かが山に捨てたのが野生化したのだと思う。あれは噛まれたら危なかったぞ」と言って、手に持っていた木の棒を地面にポンと放り投げました。

普段はおっちょこちょいで自分のことしか考えていなさそうな父親でしたが、この時ばかりは「頼りになるなあ」と心から思ったものです。

先ほどまで食事をしていた場所は、お皿やコップが散乱しており、野犬が食べ散らかしたのか、カレーやご飯がきれいに無くなっていました。

「さすがに食べるのは止められんかったわ」

残骸をみて残念そうに呟く父親でしたが、噛まれなくて良かった、というのが、この時の自分の中で最大の安心感でしたね。

周りを見ると、雪はすっかり止まっていて、来たころと同じように秋晴れの清々しい山の姿が辺りに広がっていました。

散らばった食器の残骸を片づけ、リュックにしまうと、

「じゃあ、行こうか」

という父親に弟と一緒に頷き、再び山頂を目指したのでした。

まとめ:山で野犬に襲われた時の教訓

その後は順調に山の頂上までたどり着き、そのまま下りのハイキング道を降りて、帰路に着きました。

このときの突然の大雪と野犬に襲われた体験は、私の中で最も印象深い子供時代のハイキング体験になりました。

一方で父親と弟に大人になってから話すと「そんなことあったかなあ」と言われてしまい、「え~っ、覚えてるの俺だけ?」と悲しくなったことがあります。

今思うと、あのときの野犬は子供の自分が「大きい」と感じていただけで、実はそこまで大きなサイズの犬ではなかったかもしれません。

本当に危ない野犬であれば、たとえ30代成人男性の父親でも集団を前にして、木の棒一つで追い払うのは困難だったでしょうから。

とはいえ、体を張って息子たちを守った親父の勇気はいまだに尊敬するところです。

山には今でも野犬は存在すると思います。

とくに最近はペットブームもありますし、飼えなくなって山に捨てる不届き者も多かれ少なかれいると思います。

そうした犬が山で育ち、集団になって人を襲う、というのも十分に考えられます。

犬は狂犬病を持っているリスクもあるので、噛まれたりすると非常に危険ですしね。

だからこそあのときの父親は体を張って息子2人を逃がしたのでしょう。

このときに得た教訓は「武器となる得物を常備すべし」ということ。

武器といってもナイフのようなものではなく、距離をとって相手を追い払えるものが望ましいです。

噛まれると危険ですし、近距離で戦うには経験と技術がいりますから。

なのでハイキング用のトレッキングポールは良いでしょう。

投げる石があれば、それも追い払う武器として利用しましょう。

追い払うための「強い光」や「音を発するもの」もあれば良いと言われています。

野犬は噛まれると本当に危険なので(狂犬病と破傷風)、とにかく距離をとり、目を離さずに後ずさりしながら、上に挙げた武器で追い払うこと、もし食べ物があれば、それを遠くに投げて少しでも離すことも大事。

基本的には食事をするときは「見晴らしの効く広い場所」で、周りに何か来ても早めに逃げる時間を稼げるような環境が重要だと思います。

あとは山で野犬を見かけても、決して餌をやらないようにすること。

人間を見ると食べ物をくれると思うようになるので、恐れずに近づいてくるリスクがありますから。

そんなあれこれを子供の頃に経験した野犬バトルで感じました。

皆さんもハイキングや登山をした時は、くれぐれも気を付けてくださいね。

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