地震で被害を受けるのは建物の損壊だけではありません。
家具や食器が転倒することで、その下敷きになったり、ガラス片で足を切るなどの怪我を負ってしまう危険性があります。
今回はそうした家具・食器の転倒防止について、被災体験を交えながら、対策法を語っていきたいと思います。
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自宅の半壊で九死に一生を得た
阪神淡路大震災で自宅が全壊に近い状態になったことを過去の記事で取り上げたことがあります。
【災害体験】20年前の阪神淡路大震災で体験したこと、感じた事
家屋が平行四辺形の形状に崩れていたので、逆にそれが家族(両親)の命を救うことになりました。
地震がきたとき、揺れで壁際の洋服ダンスが倒れてきたのですが、下がってきた天井部分に引っかかり、洋服ダンスと地面の間にできた三角形の隙間から抜け出すことができたといいます。
その後に、寝室を抜けて玄関に通じる通路を通ろうとしたのですが、すでに玄関付近の壁や天井はほぼ倒壊状態で、とてもではないですが、そこから先に進むことはできなかったとか。
仕方なく、玄関を素通りした先にあったキッチンに行き、ちょうど表通りに面した流し台の上のガラス戸を破って、そこから外に出ようと試みたらしく・・
そのときの床は食器棚から飛び出した皿や茶わん、コップが割れて散乱していて、とても歩けるような状態ではなかったらしいです。
そこで両親は玄関から手探りで靴やサンダルを持ってきて、それを履いてガラスの破片だらけのキッチンを歩くことができたそうです。
ちなみに私はこのとき、自宅にはおらず、前日から友人の家に泊まりに行っていたのでした。
このあたりについては過去に書いた震災体験記事に詳しく書いてあります。
29年前の阪神淡路大震災で体験したこと、必要だと感じたこと
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自宅の家具の転倒を防ぐための方法
こうした体験を経たので、その後に引っ越した家では家具の転倒に気を付けるようになりました。
その方法はシンプルで「4つ」に絞ることができます。
①避難経路に置かない
各部屋の出入り口付近や玄関、窓のそばには大きな家具は置かないようにすることが大事です。
もしそうした場所に置いていて転倒してしまうと、避難する経路を塞いでしまうので、離れた場所に置くか、固定してしまいましょう。
②廊下に置かない
これも同じです。廊下は玄関や各部屋に至る通路になるので、家具が倒れてくると逃げ道が塞がってしまいます。
③寝室に置かない
寝ている時に揺れが来て頭や体に倒れてくると怪我をしてしまいます。もし置く場合は固定するか、寝る場所に倒れてこない位置に配置しましょう。
④いつも座っている場所に大型家具を置かない
居間のソファなど、普段座る場所の近くに大型家具を置いていると、地震で倒れてきたときに怪我をしてしまいます。配置場所を変えるか固定する、または背の低い家具に代えるようにしましょう。
⑤鏡が割れないように処置しておく
鏡は割れるとガラス片で怪我をする危険があるので、フィルム製の割れない鏡や飛散予防シートを貼って、万が一の転倒や衝撃による鏡割れを防ぐようにしましょう。
では次にそれぞれの処置の方法を見ていきましょう。
家具を固定する方法
L字金具
最も強度が高い方法です。
面と面を釘で固定するので、抜けたり剥がれることがありません。
持ち家だったり、壁に穴をあけるのが許可されている賃貸建物であれば、ぜひともこれで予防したいところです。
突っ張り棒
天井と家具の上部に差し込んで「突っ張らせる」ことで、家具の移動や転倒を防ぐアイテムです。
ポールの中央が伸び縮みできるので、流れを合わせてはめ込むことも可能。
これだと釘やシールで固定する必要がないですので、L字金具の次におすすめな手段ですよ。
我が家でもこのポールを使って、防災に役立ててます。
ベルトタイプ
固定面をシールや釘で壁などに固定しつつ、そこから伸びたベルトストッパーで、家具や家電機器を固定するタイプです。
冷蔵庫やテレビ、棚などに固定して使えます。
ただベルトが緩んでしまうことで家具が移動してしまったり、固定面が家具の転倒の衝撃で抜けてしまう危険もあるので、両面を固定できるL字金具よりも強度は低いかもしれません。
転倒防止安全版(ストッパー)
△状になった具材を家具の下に差し込むことで、傾斜で前に倒れてこないようにするアイテムです。
これだと釘などで固定する必要がないので簡単に差し込むだけで済みます。
ただこれも抜けやすかったり、強度の揺れで飛んでしまうこともあるので、あくまで補助程度に考えていた方がよさそうですね。
転倒防止グッズを使って地震対策を施してみました
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耐震ジェル
家電製品の底に敷いて「動きにくくする」機能があります。
ジェルタイプなので粘性が高いです。
接地面に汚れやほこりがついていたり、入り込むと接着力が弱まってしまうので要注意。
背の高い家具や家電には向かないので、あくまでレンジなどの低めのものに使用した方が良いと思います。
食器の落下を防ぐための方法【開き戸のロック】
次が食器棚の転倒を防止するための方法です。
激しい揺れがくると、ガラス戸や扉が開いてしまい、中のものが飛び出して破損してしまいます。
床にガラスや陶器の破片が散乱していると、脱出するときに怪我を負ってしまうので注意。
そこから雑菌が入ると破傷風の危険も出てくるので、決して甘く見てはいけません。
なので事前に落下しそうな食器棚や食器に対して「防災処置」をとること。
我が家では、食器が収納した開き扉にドアロックを取り付けています。
こうしておけば、いざ地震の時でも中のコップや皿が飛んでこないので安心です。
上のは自分で取りつけたものですが、市販のタンスの開き戸ロック用のものでは構わないと思いますね。
地震に強いガラスコップの置き方
ガラスコップは日常生活の中で倒れにくく作られています。
重心が下にくるようにガラスの厚みが重い底の部分を下にしておくと、倒れにくくなるという特性があります。
ワイングラスやビールグラスでも同じで、底部分を下にして置いておくと揺れに強くなります。
つまり「コップやグラスは底に重さがくるように作られているので、特別な置き方をせずとも、普通に置けば倒れにくい」ということ。
もちろん限界はあります。
激しい揺れだと、どんな置き方をしても許容レベルを越えて倒れますからね。
(〇)倒れにくい置き方
(×)倒れやすい置き方
皿の重ね方にも工夫があります。
皿の大きさが異なる3枚を重ねて置く場合、
下に中皿
↓
真ん中に大皿
↓
上に小皿
の順に置くと、倒れにくく飛散しにくい形になるんですね。
その理由は、
・地震の時に揺れが大きくなるのは、皿と皿の間に遊びがある場合
・中くらいの大きさの皿の上に、大きな皿を置くと、遊びが少なくなる
・一番上の小さな皿は、乗っている大きな皿の上で動くが、揺れとは反対方向に動くので、制御装置のようにエネルギーを吸収する働きがある
ということ。
面白いですね!
鏡が割れてガラス片が飛散するのを防ぐ方法
部屋に置いてある姿見の鏡は地震で強い揺れがあったとき、転倒して割れてしまう危険があります。
窓ガラスと同様にガラス片が割れると辺りに破片が飛び散って、足をケガしてしまうので、普段から鏡の配置や割れないように処置しておくことが大事です。
おすすめなのが「割れない鏡」「飛散予防シート」の2つ。
割れない鏡はフィルムで出来ているので、衝撃で割れる心配がありません。
飛散予防シートは鏡の表面に貼って、万が一のガラス片を飛び散りを防いでくれます。
どちらも何もない平時から用意しておくと、いざという時は安心です。
以下の記事で詳細をまとめていますので参考にしてください。
地震でガラス片をまき散らさないための割れない鏡・飛散防止フィルムを紹介
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まとめ
以上、我が家で経験した震災時の倒壊体験と、家具や食器類の転倒・落下防止の方法を紹介させてもらいました。
首都直下型地震や南海トラフ地震の危険性は現実のものです。
日本列島に住む我々は常に地震への防備を怠ってはならないと思います。
今回の内容がその助けに少しでもなればと願っています。
【地震対策まとめ】被災の流れと対処法について
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