防災本の感想です。
取り上げるのは災害レスキューナースとして活躍されている辻直美さんの著書「レスキューナースが教えるコロナ防災マニュアル」になります。
阪神淡路大震災での被災で災害医療に目覚めたという著者の前著(プチブラ防災)を読み「役に立つ防災スキルが多いな」と感銘を受けた前回でしたが、今回の新作もそんな高い期待値のままに読了させてもらいました。
コロナ対策がメインになるので医療系の内容が多めですが、相変わらず役に立つ実践法が多くて「良いな」と感心です。
ということで、早速ですが、本の感想を述べさせてもらいます。
最初に全体の感想を述べ、その後で「使えるな」「覚えとくべきだな」と感じた箇所をピックアップしてまとめていきます。
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「コロナ防災マニュアル」全体の感想
基本的な心得を本の冒頭に掲げていました。
手洗い、うがい、マスク、三密を避ける、家をグリーンゾーンに保つ、オモロク生きる
の5つです。
この中で最初の3つはすぐに理解できるのですが、後の2つの「家をグリーンゾーンに保つ」「オモロク生きる」はなかなか他のコロナ対策や防災本には書かれていない表現だったので目を引きました。
グリーンゾーンとは「ウイルスに汚染されていない場所」のことを指し、外でつけてきたウイルスを家の中に持ち込まないような方法を本書で詳しく述べていくという形になっています。
もう一つの「オモロク生きる」はいかにも関西出身の著者らしい「関西弁」が使われていて、くすっと笑ってしまいました(関西弁で「オモロク」は「面白く」の方言表現で、ほかにも「おもろい=面白い」「わらける=笑える」などのバリエーションがあります)
なぜ「面白く」しようというのかというと、「面白くする=笑う、楽しむ」ことで体の免疫力を上げるため。
笑うことはストレスを解消し、免疫力を上げる効果があるというのは、良く言われていることです。
実際にインドでも大勢が集まって、ただひたすら大笑いするだけのヨガがあるというのを動画で見たことがあり、笑いがもたらす体への影響はバカにできないのだなと感じたことがありました。
本書では「笑う、好きなものを食べる、良く寝る」でストレスを解消して免疫力をアップさせ、コロナから身を守っていこうということ。
各ページで教示されている対策は、どれもが具体的で日常でもすぐに使える物ばかりです。
前著でも書かれていた「防災への準備は普段自分たちが使っているものや、身の回りの物を利用するだけでも十分可能」という理論を本書でも写真付きで実践してくれています。
ナースさんなので医学的にも説得力がありますし、何よりもご本人自らが写真つきで出演しておられるので親近感も湧いてきますね。
女性ならではのコロナ対策メイク術というのもあって、これも男性の自分では思いもよらない部分でした。
後半の防災対策編は「災害後のリアル」という、実際の現場で起こり得る最悪のシチュエーションを想定して、それをいかに乗り切るかということを、いくつかの場面に分けて解説しています。
個人的に非常に参考になったのは「姿勢」。
コロナ・防災の両方の対策で教えてくれている「とるべき体勢や姿勢」はナースさんならではの視点で作られたもので、前著でも取り上げられていたものもありましたが、とにかく「使える」ものが多いという印象でした。
全体に共通しているのは「再現性の高い医療・防災対策」だということ。
絶え間ない現場経験から導き出された対策法の数々は、一つ一つは一般人向けに簡素にまとめられているものの、どれもが「使える」と感じさせてくれるものばかりでした。
ということで、ここまでが全体の感想。
次は私が「これはいい」「使ってみたい」と感じたコロナ対策・防災術の一部(8つ)をピックアップして、その要約を紹介していきたいと思います。
「使える!」と思ったコロナ対策・防災法の要約【8選】
1:マスクの外側にはできるだけ触らない
外出先から家に帰宅したときに扱うマスクの処理法です。
普通なら何の考えもなしにマスクをとって、そのまま捨てるか、洗って乾かすかになりますが、このときに「外側を触らないようにして処理する」ことが提唱されています。
マスクの外側が外気にさらされているので、自分が思っている以上に汚染されている、ということ。
なので、マスクの外側を触らないようにして、紐をつまんで折ってまとめていく方法を示していました。
ナースさん直伝のテクニックなので、これは覚えておいて損はないと思います。
2:スマホの画面はティッシュで空拭きするべし
スマホの画面は指でスワイプするので、外先で触った場合はウイルスが付着している可能性があります。
飲食しながらのスマホいじりは、ウイルスが付着した指でそのまま食べ物や飲み物を口に入れるので、感染するリスクが高くなると言います(若者の感染が増えているのは、飲食しながらのスマホが原因とも言われているとか)
なので本来はスマホを触った後の手で顔に触らないようにするのが、一番の予防法になるのですが、そのたびに消毒するのは面倒ですし非現実的です。
こういうときはティッシュで一方向に空拭きするのがベターということ。
アルコールで拭くと画面が傷つくということなので、これは使えるなと思いました。
3:消毒は普通の石鹸で十分
手指の消毒にハンドソープが人気がありますが、これもわざわざ並んで買う必要がなく、普通の石鹸でも十分に洗浄効果があるということです。
本では牛乳石鹸が例として使われていたので、たまたまお歳暮にもらった箱の牛乳石鹸があった我が家は「勝ち組」宣言を勝手に上げさせてもらっています(笑)
理由としては、石鹸だと小ぶりで使いやすく、体も服も洗えるので使い勝手が良いということ。
さらに著者は「紙せっけん」が携帯に便利なのでおすすめ、と奨励しています。
紙せっけんは初めて知ったので、これはすぐに購入リストにインさせてもらいましたよ。
4:エレベーターのボタンの押し方
ずばり「利き手を使うな」ということです。
右利きなら左手を、左利きなら右手をという感じですね。
上級者は「中指の第2関節で押す」とのことで、人差し指の第2関節で押す私はさしずめ「中級者」というところでしょうか。
理由は簡単で「普段よく使う手を感染リスクから遠ざける」から。
個人的には第二関節押しは指の腹を使わないので、こちらを強くお勧めしたいですね。
5:現金の受け渡しに気を付けよう
お札や硬貨は不特定多数の人が触っています。
つまり「感染リスク」を常に背負っているということ。。
たとえば店で買い物をしたときにお金をどうしても触ってしまいますが、このときにエレベーターボタンを押す時と同じように「利き手ではない方の手を差し出す、使う」ことがリスクを避ける最善手です。
その意味で「電子マネー」はお金に触れずに決済できるので、こちらも同時におすすめということです。
6:外出先のメイク直しに気を付ける
ここは女性向けの内容ですね。
外先でメイクを直すときは必然的にマスクを外します。
このときにおしゃべりをしながらメイク直しをする人がいるので、その周りに近づかないようにすると良いとしています。
さらにメイクをする際にも、顔についたウイルスを広げてしまうリスクがあるので、これも危険だそう。
そこで著者は「崩れないメイク」を提唱していました。
これは外出先でメイク直しをせずに済む方法で「アイメイクにポイントを置く」「マスクで隠れる部分のファンデーションは薄くする」「メイクが崩れないスプレーを使う」が挙げられています。
実際に著者も「崩れないメイク用」にコーセーの「メイク・キープ・ミスト」を使っていると書かれていました。
これも参考までに貼っておきますね。
7:口の乾燥を防ごう
口腔ケアになります。
虫歯や歯周病の人は、口の中に傷がある状態なので、そこからコロナウイルスが侵入するきっかけになります。
なので大事なのは歯を磨くこと。
磨くタイミングは早朝が良いとしています。
寝ている時に口を開けている人は、口の中が乾燥しやすく、粘膜が傷つきやすくなるのでウイルスの感染リスクが高まります。
朝起きた時に歯を磨くことで、口の中の浄化が行えます。
朝以外でも口の中の乾燥予防に水分をこまめにとると良いよう。
45分に一度、水を一口飲むだけで感染リスクが低減するようです。
私は歯磨きができないときのためにマウスウォッシュを防災用に常備していたので、あながち間違っていなかったんですね。
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8:災害時の正しい姿勢の取り方
2種類あって、一つが「地震が起きた時の身の守り方」、もう一つが「避難所でリラックスする座り方」です。
最初の震災対策の姿勢ですが「ダンゴムシのポーズ」と呼ばれていて、体をダンゴムシのように丸めて床にうずくまる姿勢です。
従来は地震による落下物から頭部を守るために、両手で頭をおさえるポーズが教えられていますが、著者は長年のナース経験から導き出した「首の延髄を守るポーズ」を提唱しています。
延髄は人体で最も重要な部位で、脳に至る様々な神経が通っています。
ここを両手をクロスして守りながら、体を丸めてうずくまるということ。
地震の揺れを感じた時には、すぐにこの姿勢をとって落下物から大切な延髄を守りましょう。
もう一つは避難所で休んでいる時に「あぐらをかきながら、手を胸に当てる」姿勢です。
正座などで座っていると緊張が抜けません。
そんなときに「あぐらをかく」「手(右手でも左手でも)を胸に当てる」と不思議にリラックスできるといいます。
写真で実際のポーズをみましたが、たしかに胸に手を当てるだけでホッとした雰囲気が伝わってきました。
どちらもレスキューナース直伝の技ということで、避難所で過ごすようなことがある場合はぜひ試してみたいですね。
取り上げたニュース映像はこちら↓
最後に
本全体の感想と、「いいね!」と思った対策法を8つ紹介させてもらいました。
コロナ対策と防災情報ともに密度が濃く実践的な方法ばかりだったので、本書を読むことで、今まで自分が培ってきた防災知識に厚みができたと思います。
またどの情報もレスキューナースさんが現場経験から得たものなので説得力が違いますし、何よりも著者の辻さんが自分と同じく阪神淡路大震災の被災者だったということで、災害経験者として言葉に重みを感じることができたところも良かったですね。
今回は要約という形で一部をピックアップさせてもらいましたが、ほとんどの内容は掲載写真を見ながらのほうが分かりやすくなっており、記述のほうも詳細データなどがきちんと記されています。
なので実際の内容は本書に触れて確認して頂きたいと思います。
本当に「身につく」「役に立つ」コロナ対策&防災情報をぜひ^^