西日本豪雨災害から約2週間。
災害地は豪雨時から一転して、猛暑が街を襲っています。
岡山、広島では町全体が水に浸かってしまったところもあり、今もその復興作業に懸命に取り掛かっておられます。
その中でも岡山県総社市では、市役所が家屋が浸水してしまった避難者の方々にペットが同伴できる避難所を開設した模様。
【西日本豪雨】避難所でもペットと一緒に 岡山・総社市が庁舎など3カ所開放
記事によれば、
16日時点で計34世帯の計85人が、イヌとネコ計30匹と避難。このうち市役所西庁舎には3階部分にある大小の会議室4室に、冠水の大被害を受けた倉敷市真備町地区住民に共用スペースを提供した。
基本的には各世帯ごと、保健所や愛護団体などが用意したケージ内で管理してもらい、散歩にも自由に連れ出せる。イヌは室内で飼っていたものばかりで、「環境の変化にも順応し、鳴いて困らせたり、他のイヌとのトラブルになったりしたケースはほとんどない」(総社市災害対策本部)という。ノミ対策の薬なども用意されている。
ということで、庁舎の一部を開放して、ペットと飼い主が同じスペースで暮らせるように整えているとのことです。
今回はそんな避難先でのペットとの共生について述べていきたいと思います。
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被災者の心のケアにもなるペットとの避難生活
他市からペットの同行避難を断られた被災者が、総社市の庁舎を頼ってくるケースも多いようです。
熊本地震の際も、ペットを連れた被災者が避難所でトラブルになることも多かったようで、同行避難の難しさが浮き彫りになっていましたが、ペットとの生活が心の支えになる被災者の存在もあり、今後の避難マニュアルにもその対応が必須になるではと思います。
「避難所内で犬がおしっこをしてしまい、周囲から離れた場所へ行ってほしいといわれた。居づらくなってその日に出ました」
熊本市内で被災した無職、牧田万里(ばんり)さん(68)は、そう振り返る。愛犬のマル(10歳、雄)は避難生活でも欠かせない存在だといい、「家族の一員だから一緒にいないと精神的にもたない」と話す。
【熊本地震】「人の水もないのに犬に飲ませるのか?」 ペット同伴避難でトラブル相次ぐ 唯一のペット避難所は…(1/3ページ) - 産経ニュース
2011年の東日本大震災後の事例を受けて、環境省もペット避難についてのガイドラインを製作し、一般にも公開しています。
上記ガイドラインでは避難所での飼育マナーについて、
避難所・仮設住宅では、様々な人が集まり共同生活をするため、動物との暮らしが苦手な方やアレルギーの方もいることを認識しなければならない。
これまでの災害では、ペットがいることによってつらい避難生活の中での心の安らぎや支えとなったという声がある一方、咬傷事故や鳴き声への苦情、体毛や糞尿処理など衛生面でトラブルになることもある。
避難所や仮設住宅では、ペットの飼育管理は飼い主の責任で行う。
衛生的な管理を行うとともに、飼い主同士等で周りの人に配慮したルールを作ることも必要である。
としています。
またペットと被災者が共生できるようなスペースを提供するのか、ペットと人とを別々に分けてスペースを作るのかについては、それぞれの地域や状況にゆだねているという印象を受けました。
ただ高齢者など身寄りのない方のや、家族の一員としてペットを可愛がっていた方にとっては、ペットと離れ離れになるのは精神的にも打撃になると思うので、今回の総社市のように一部庁舎を提供した共生スペースの必要性が今後ますます高まってくるのだと思います。
同行避難するにあたっての心構えと備え
私の住む関西で最大の行政区域の大阪府が、ペットの同行避難についてのガイドラインを市ホームページに掲載しています。
以下に概要をまとめてみました。
【普段の心がけ】
・狂犬病や各種ワクチンなどの予防接種を必ず済ませておく
・ペットと離れ離れになった際のために、ペットの首輪に鑑札や狂犬病予防注射票、迷子札、マイクロチップなどを装着して、所有者の明示をしておく
・避難時のために避難袋を用意しておく。
⇒ペットの水や食料(最低5日分)
⇒ペット用トイレ
⇒与えている薬
⇒爪切りなどのケア用品
⇒飼い主と一緒に映った写真
⇒ゲージ
⇒キャリーバッグ
・災害時の避難場所を確認しておく
・災害時にはペットも動揺するので、普段からしつけをしておく
【災害時の心がけ】
・安全確認をする(人間やペットの)
・ペットと一緒に避難してください(避難所によって同伴できるかどうか変わってきます。役所の職員に相談してください)
・避難袋を忘れないように
・犬には必ず引き綱をしてください
大阪府/ペットといっしょに災害への備え
すでにペットを飼われている方には常識的な内容かもしれませんが、災害時の心がけにあるように、お住いの地域の避難所によっては、ペットの同行避難ができない場合も考えられます。
災害時に避難所まで行って断られた場合は、その後の対応が難しくなってきますので(同行避難が可能な避難所を見つけるための時間や体力の消耗)、平時に確認することが重要だと思います。
同行避難できた場合でも、今回の豪雨災害のような夏場での災害時では、気温の上昇が著しくなっているため、ペットにも熱中症が心配されます。
対策としては
・身体が熱かったり、涎が大量に出ていたら、日陰にすぐ行って水をかける
・首元や脇、股の内側を濡らしてあおぐ
などの処置が各自治体でも奨励されているようですね。
同様に水害の被害地域では、以下のような危険があるので、散歩には注意が必要とのこと。
・釘やガラスなど、肉球を傷つける危険物が落ちている恐れ
・犬の腎臓や肝臓に障害を引き起こす細菌(レプトスピラ)の感染の恐れ
・細菌感染は気温が高く湿った地域で発生しやすい
お住いの地域の自治体ホームページや獣医師会でも、被災時のペットの予防接種や衛生チェックなどを提供してくれるケースもあるかと思いますので、こちらも該当機関まで事前にチェックしてみてください。
同行避難と同伴避難の違いとは?
豪雨災害の報道を見ていると、ボートで救出された方がペットの犬や猫を抱えて降りておられる姿をよく見ました。
ペットは家族の一員であり、自分たちが助かるために災害地に放置しておくことは到底できないのは理解できます。
私自身は犬や猫は飼っていないのですが、鳥は飼っていたことがあり、その当時はもし自分の家が地震や津波で被災してしまったら、どうやって一緒に連れて逃げようということを考えていました。
いざというときは絶対に準備不足になるので、大阪府のホームページに記載してあったように、普段から準備しておく必要があります。
こうした際の同行避難と同伴避難には違いがあり、前者の同行避難はあくまで安全な場所まで一緒に避難することであり、一緒に生活できるかどうかは別の話になります。
後者の同伴避難は、安全な場所まで飼い主と一緒に行動し、共に生活ができることを指すということです。
今回取り上げたニュースの総社市は、まさに「同伴避難」ということになりますね。
ただ総社市のように「同伴避難」まで提供できるケースは、全国的にはまだまだ少数のように思います。
まとめ
有事には人間の住居スペースや水、食料、医薬品が優先されてしまうため、ペットへの対応は後回しになってしまうのは仕方ないのかもしれません。
ただ少子高齢化が進み、ペットと暮らす人の数が増えている中、今後の避難所対応が変化していくことも想定できます。
犬や猫、鳥も、人間と同じ命ある生き物です。
ペットだからといってモノのように扱わず、家族の一員として遇してほしいのが飼い主の願いです。
災害はいつなんどき起こるか予測がつかないため、飼い主自身が普段から愛するペットの防災への準備を怠らないようにしておくのはもちろん、国や自治体には被災者の心のケアを想定して、ペットの同行避難に関する環境整備を平時から整えて欲しいと思います。
ペットの避難グッズと防災について
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