「シェイクアウト」という言葉を今までに聞いたことはありませんか?
電車の広告やテレビ、ラジオのCMなどで時折目にすることはありますが、実は私も最近までは、ほとんどその意味を分かっていませんでした。
今年は参加してみたいなと思ったので、少し調べてみたところ、自分がイメージしていた「訓練」とは少々異なることが分かり、がぜん興味が湧いてきたということなんですよ^^
そんな「シェイクアウト」について、少々解説していきたいと思います。
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シェイクアウトの意味
英語の「SHAKE OUT」のことです。
直訳では「吹き飛ばせ」「振り切れ」になり、言葉の前後に含まれる意味としては「地震を吹き飛ばせ!」となって、いわゆる「防災訓練」になります。
from: The spokesman
由来は、2008年にアメリカ・カリフォルニア州で始まった大規模防災訓練から。
当初は900万人、2012年には1500万人、そして2015年には2000万人と、年ねん参加者や登録者が増えており、アメリカでも防災訓練の大切さが理解されるようになってきています。(対する日本の「防災の日:2012年9月1日)の参加者は30万人レベルだそう)
Great ShakeOut Earthquake Drills
もともとは日本の防災訓練をモデルにしたといわれていますが、アメリカ版ではさらにそこへ学生を中心としたネットやSNSを使ったやり取りを加え、場所を限定しない方法で訓練を実施してきたやり方が支持を得てきたのでした。
日本でも2012年に東京杉並区で行われた第一回目のシェイクアウトから徐々に登録者人数が増え始め、2017年には日本全国で600万人を超す人が訓練の登録を行うまでになっています。
具体的な方法は、参加者が事前にネット登録し、指定された開催日時に、それぞれが自主的に防災訓練をおこなうというもの。
従来の防災訓練が、学校や会社、自治体などは大きな場所や施設を使って皆が一斉に同じ動きを行うタイプのものでしたが、シェイクアウトは場所を選ばずに参加できて各自で訓練できるので、自宅で合図を聞きながら気軽に行える点が魅力ですよね。
シェイクアウトの訓練内容とは?
定められた時間になれば、館内放送や運営者からの連絡、アプリなどで、安全確保のための動作を行います。
これが非常にシンプルで、
1.DROP「姿勢を低く」
2.COVER「頭を守って」
3.HOLD ON「動かない」
の3つだけ。
この3つの動作を行うだけで訓練は終了します。
「えっ?これだけの訓練で、なんでアメリカや日本で支持を得てるの?」
という疑問が出てくると思います。
私も最初はそう思いましたが、次の理由を聞いて納得しました。
「ホームページやfacebook、Twitterなどで参加した各自が訓練の内容を振り返り、反省点や改善すべき点、これからの課題などを発信できるというところ」
これによって発言した内容がシェアされたり、情報が共有されたりすることで、防災の意識が自分自身だけでなく、社会の誰かとつながることでより向上していく、という利点があるのだと思います。
今後のシェイクアウト
実施団体の公式ホームページ上で詳しい日程と参加方法が書かれています。
具体的には、まず参加を希望する地域の地図をクリックし、該当する地域のシェイクアウト訓練の内容を確認します。
その後、参加の登録を行って完了。
あとは実施日の当日に任意の場所で定められた安全行動(先ほどの3つの動き)を行うだけです。
参加人数や場所を問わない訓練なので、一人でも行えるのが気軽で良いところ。
ただ実際の災害を想定するという意味では、もし身近に誰かいれば、皆で一斉に安全行動を行うことが良いのでしょうね。
これをきっかけに、地域や学校、職場や家族と防災について話し合い、今後の対策を練ることが大切だと思います。
まとめ
最初に想像していた「地域のどこかの場所を借りて行う大規模防災訓練」とは全く異なって、各自が自主的に行い、その結果をSNSで発信して成果や反省を皆で共有するという方法は、いかにもアメリカ発祥で、ネット文化が成熟した現代社会にマッチングした方法だなと感心しました。
場所や人数を問わないという方法やアプリを使った訓練の合図が行われるという点も、参加するのにとても気軽さがあり、これなら万単位で参加人数が増えていくのは当然だなと納得です。
訓練にまつわる方法は非常に現代的ですが、内容そのものは昔からある「姿勢を低く」「頭を守って」「動かない」というところがミソで、やはり人間というのはいくら使う道具が便利になっても、命を守るという点に限っては基本的には同じだなと。
思えば、私が20数年前の阪神淡路大震災で激しい揺れを経験したときも(奇しくも、一週間後に1月17日を迎えます)、この「姿勢を低く」「頭を守って」「動かない」を忠実に守って、倒壊する建物内部の建造物から身を守り、無事に屋外に出ることができました。
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実際にはこたつの中に頭を入れて、じっとしていただけの話ですが(頭隠して尻隠さずの状態です笑)、頭部を守るという意味では、これに勝る方法はないのだなあと、当時の記憶とシェイクアウトの訓練内容を照らし合わせながら納得した気分ですね。
なので、今年はぜひ参加して、あのときの「頭隠して尻隠さず」をもっと洗練された動きと形で仕上げ、より鉄壁の動きに変化した「頭隠して尻もしっかり隠すぜ!」的な完成形の防御スタイルを周囲の皆さんにお見せしようかなと、密かに計画を練っている最中でありますよ。
ともあれ!
上記で述べたシェイクアウトの安全確保の動きは本当に現場で役に立ちますので、皆さんもぜひとも訓練に参加して、動きを体に染み込ませてもらえればなと思います。
追記:頭よりも延髄を守る方法がベター
災害ナースをされている方の書籍で学んだ「地震の揺れが来た時に頭部を守る方法」です。
シェイクアウトでは「頭を両手で抱えながら、地面に丸まってうずくまる」やり方でしたが、看護師さんの観点では「頭部よりも延髄を守るべき」とした「うずくまり方」を推奨しています(以下はレビュー記事です。うずくまり方のニュース映像もあり)
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延髄は人間の脳に直結する大事な神経がたくさん通っています。
逆に頭部は骨で守られているので、皮膚一枚で守られている延髄部分に比べ、衝撃にはまだ耐性はあると思います。
なのでここを守るのは確かに重要。
そのことに触れていた情報はいままで見たことが無かったので、この著者の書籍で初めて見て「おお!これは使える!」と嬉しくなりました。
著者自身も阪神淡路大震災を体験されているようなので、看護師経験プラス実体験ベースの防災術にも長けています。
防災の新たな知見としておすすめの一冊です。