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磯田道史さんの「天災から日本史を読みなおす」感想とドローンの活用について

2019年10月16日

書店で見かけた歴史学者・磯田道史さんの「天災から日本史を読みなおす」を購入し、そこで書かれた防災に関する記述に触発されて今回レビューすることにしました。

その心は「ドローンで津波に巻き込まれた人を救えるのか?」

まずは書籍の感想を紹介し、次にその内容からドローンを導き出した理由などを述べていきたいと思います。

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「天災から日本史を読みなおす」を読んで

本書は2013年~2014年にかけて朝日新聞で連載されたコラムを書籍化したものです。

著者の磯田さんは「武士の家計簿」で一躍有名になった歴史に関する研究を行っている大学教授でもあります。

同時に2011年に発生した東日本大震災を経験された被災者でもあり、さらにお母様の出身地域が日本有数の津波常襲地(徳島県牟岐)ということもあって、防災史というものを長く続けられているとのこと。

本書の前半は日本の歴史的な天災(地震や噴火、津波)が当時の武将や大名に及ぼした歴史的影響、江戸時代の古文書に残る当時の自然災害の詳細やそれに対する防災の構えなどについて触れていましたが、後半では著者のご家族の防災経験を中心に語られていました。

中でも印象的だったのは、著者のお母様が子供の頃に経験された昭和南海地震

1946年に発生した地震によって発生した津波が、お母様の家族が住んでいた牟岐の町を飲み込み、多くの人の命を奪ったといいます。

幸いご家族は早めに高台に避難していたので無事だったようですが、地震が発生したのが12月21日の午前4時過ぎだったというころもあり、明かりも何もない時間帯での避難は難航を極め、多くの哀しい犠牲者を出した様子が描かれていました。

当時の津波では特に5歳児と母親のペアの溺死が目立ったようで、1946年当時の女性の体格の小ささ(成人女性の平均身長が149㎝、体重49キロ)では、平均体重が17.5キロほどあった4,5歳児を抱いて逃げるのは困難を極めたことされます。

中には津波が来た時に4歳児と、病気で寝ていた父親、妊娠中だった母親を置いて逃げることができないまま、その祖母もあきらめて逃げることなく一家全員が全滅してしまったケースもあったようで、この体験談を聞いたときは著者も「胃がやられる思いだった」と語っていました。

津波では「老人、乳幼児、子供連れの母親」が避難弱者となるということで、そうした哀しい被害を少しでも減らすために、著書では要所要所に津波避難についての記述がありました。

以下にその要点をまとめてみますと、

・普段から避難場所を家族で話し合って確認しておくこと

・安全な避難先を知っている場合、地元住民は「津波警報、~へ避難!」と逃げ場所を連呼しながら逃げること

・高台の避難場所に逃げること

・赤ちゃんを連れて逃げる場合、抱っこ紐を使うこと

・津波の時は何も持たずに逃げること

・一度、避難したら、絶対に物を取りに戻らない(引き波がくるため)

となっています。

特に最後の「引き波」はかなり強烈のようで、最初に襲ってきた津波で浸水した後は、それ以上の勢いで引いていき、来る時の何倍もの力で周りのものをさらっていくそうです。

なので、第一波の波が来ても決して慌てず、水の上に浮いた状態を利用して「建物の高いところに移動する」「浮遊物の上に乗る」「流されないものを探してつかまる」などして、安全な場所に移動して脱出を図ることが大切となるとのこと。

押し波よりも引き波の恐ろしさを歴史が証明しているので、こういった話は津波未経験者の私にとっては非常に参考になりました。

津波で流された人をドローンで助けることは可能?

著書を読みながら「津波は怖い」ということを感じつつ、今もしドローンを活用して人命救助ができるのなら、そういった方法というのはどこかで実現していないのだろうか?ということを「ふっと」考えました。

ドローンの技術は日々進歩しており、今やあらゆる分野でその活動のフィールドを広げています。

もちろん防災にも活用されていることは様々なメディアで取り上げられてきました。

たとえば「人命救助」に特化するならば、こちらのサイトが取り上げているように7つの実例が挙げられています。

動画で見る人命救助ドローン7選。世界初の海難レスキュー成功例も

・沖に流された人にドローンを使って救命具を渡す

・氷河地域での遭難者の捜索活動で防災機能を備えたドローンに熱感知カメラを装着させて居場所を発見する

・固定翼ドローンを有人飛行機やヘリコプターがいけない危険な場所で捜索活動に従事させる(浮き輪なども装着)

・海岸でライフガードよりも速いスピードで遭難者を救出する海難救助用ドローン

・放水機能を備えたドローンで、消防車が行けない場所や、空からの放水が可能

・輸血用の血液を届けるドローン

・AEDを運ぶドローン

などなど、様々な形で人命救助にドローンが活用されていることが分かります。

他にも日本の仙台では市とドコモの共同研究により、津波情報をインストールしたドローンで正確な避難情報を提供する実験も勧められているとのこと。

ドローンで津波避難を誘導、被災状況をリアルタイムで把握(PDF文書)

このようにドローンを使った救助方法は無数に広がりを見せていますが、私の中で「こういうのがあれば多くの人が助かるのに・・」と熱望するのがこちらです。

無数のドローンが空中から舞い降りて、津波で流されている人や、浮遊物につかまっている人、建物の上で救助を待っている人を引き上げたり、ドローン内に収容することで救い出す「レスキュードローン」。

もちろん上の写真はあくまで普通にドローンが空を無数に飛んでいるだけのものであり、本当にレスキュー用のものではありません。

ただ他の救助用ドローンのように「探査」「救助物資を届ける」という間接的なものではなくて、直接的に被災者を助け出すアプローチのものがあれば、津波の時にはこれ以上にないレスキュー対策になるのではないかと思うのです。

技術的にも最近ではタクシー型のドローンも開発されており、決して荒唐無稽な話ではないはず。

すでにアメリカで自動車配車アプリサービスを展開するUBER社がその先鞭をつけており、2020年には実用化を目指すと発表しています。

UBERが自ら「ドローンタクシー」開発か…先端技術センター設立に2000万ドル投資 | ROBOTEER

いわば無人セスナまたはヘリのような立ち位置にあり、これをそのまま救助ドローンとして対応させれば、かなりのレベルで実用化も夢ではないのではと思います。

有人ヘリでの海難救助はヘリのホバリングの危険性もあって、至近距離での救出は困難を極めるといいますし、それが津波で流されていく遭難者の救出ともなれば、より一層の危険を伴います。

しかし無人のドローンだとほぼ無風で上空に停止することができると思いますので(あくまで想像ですが)、それが可能であれば遭難していたり流されていく人に対しても安全でアプローチすることができるため、かなりの確率でレスキュー出来る可能性が高まると思います。

そにためにより大型化して複数の人数を収容できるように設計する、もしくは一人レスキュー用に特化したドローンを大量に送り出し、内臓された熱感知センサーや衛星を使った映像解析で遭難者を割り出し、その情報を基に津波で流されていく人の元に飛んでいって救い出す・・・

そんな想像をしてしまいました。

今の技術ではまだ難しいかもしれませんが、いずれ必ずそういった形でのレスキュードローンは必ず誕生すると確信しています。

まとめ

書店で見つけた防災史を購入して読んで「津波で流されていく人をドローンで救うことはできないのだろうか?」という想像を基に記事を組み立ててみました。

書籍での津波の被害者の描写はかなり生々しく、そして痛ましく悲しいものでした。

私自身は津波の経験はありませんが、阪神淡路大震災で何人かの知人の死を知りましたし、避難するときに大火事になっていた地区を通り抜けたこともありました。

直接は目にはしませんでしたが、ひょっとするとあの中で火に巻き込まれて無くなっていた方がおられたかもしれません。

人の手では救助できない困難な状況という意味では、地震による被害、それに続く火災による被害、そして津波の被害は共通しているものがあると感じますし、そうした状況を打破する有力なツールとしての「ドローン」の重要性というのは、今後ますます増していくだろうことは間違いないと思います。

現在は主に撮影用や探査用に使われていますが、近い将来、UBERに代表されるような運搬用のドローンが実用化されると、レスキュードローンの現実性が一気に高まるでしょう。

ひょっとしたら、私が知らないだけで、すでにそうしたものは存在しているのかもしれません。

もしそうだとしたら、ぜひ一度見てみたいですね。

そして自分も一台ドローンを購入して、防災用に役立ててみたいなと少し思っています。

今やドローンは10万円台で手に入るので、個人用であれば簡単に入手できて、軽量のものであれば防災物質を運搬する程度のことはできるかもしれませんし、無理であっても搭載したカメラで避難経路の確認を行ったり、音声ガイダンスで避難を呼び掛けたりすることは可能でしょうから・・

防災への活用に無限の可能性を秘めたドローン。

そしてもちろんそのことを考えるきっかけになった磯田さんの著書も要チェックですよ。

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