防災グッズと対策レビュー

防災を考えるブログ

核攻撃から身を守るための書籍レビューと要点まとめ

2022年2月10日

核攻撃のリスクがかつてないほど高まっています。

そのきっかけはロシアによるウクライナ侵攻の中でのプーチン大統領の発言です。

この中で、プーチン大統領は、「ロシアは最強の核保有国の1つだ。ロシアへの直接攻撃は、敗北と壊滅的な結果をもたらすことは間違いない」と核兵器の使用もちらつかせた。

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とし、さらに侵攻が進む中で、自軍の核戦略部隊に戦闘準備態勢を命令したとも言われています。

今この記事を書いている時点で(2022年3月10日)まだ核兵器を使う兆候はありませんが、この先どうなっているのかは全く予測がつきません。

ロシア以外にも日本の周辺には中国という核保有国が存在し、北朝鮮もほぼ保有していると考えられます。

そのうちの相当数は日本にも向けられていると思われ、いざ有事になれば日本国内にも容赦なく向けられる可能性を捨てきれません。

そんな物騒な時代だからこそ、自分や自分の家族、大切な人を守りたい。

その流れで今回久しぶりに本棚から手に取った書籍「核攻撃から身を守ろう!」(内野克彦著/東京図書出版)を読み、その感想と知識を読者の皆さんと共有しようと考えました。

まずは書籍の簡単な感想を述べた後、本に書かれている内容から特に役立つと思われる部分を自分なりにまとめていきたいと思います。

*本サイトの記事内に広告が含まれる場合があります

防災書籍「核攻撃から身を守ろう!」の感想

3年前に本屋で見かけて「役立ちそうだな」と思い、購入しました。

ただそれからすっかり本の存在を忘れてしまい、つい最近まで本棚にしまっておいたままになっていました。

そこで起きたロシアによるウクライナ侵攻と核攻撃の危機。

そのときにたまたま本棚を目にしてこの書籍が目に留まり「これは読まないと」と思って手に取った、ということは先日ツイートでも取り上げました。

では書籍の感想にいきましょう。

まず著者は内野克彦さんという方で、原子力関係の専門家です。

原子力に関わる業界に長年携わってきて、引退後の現在も関連施設や自治体に携わり、原子力関係の国家試験の講師などもされているようです(著者経歴より)

書籍の前半から中盤ははっきりいって「難しい」です。

専門的な内容が大半で、その方面に全く知識のない自分には理解がまったく及ばないレベルになっていました。

放射線の基礎や核兵器の原理など、文体はそこまで難しくありませんが、学生時代に物理や化学が苦手だった超文系の自分には、かなりちんぷんかんぷんな内容でして・・(苦笑)

なので中盤まで読み終えたときは「これは関係者が買うような本なのかな」と、ちょっと後悔しました。

ただ後半になってくると、途端に一般人でも理解できるような内容に移ってきます。

それは「核攻撃に対する防護」の章からです。

熱線や爆風対策から始まり、応急介護や食料や飲料、核シェルターについての豆知識など、素人でも役立つレベルにまで落とし込んだ内容になっていて、このあたりはかなり役立つなと感じました。

とくに「もっともだな」と思ったのは、日本が欧米各国と比べて「核攻撃」から身を守る施設が少なすぎることや、意識も低いことなどの危機意識が提唱されていたこと。

これは今の国際情勢を考えると、確かにそのとおりだと納得させられた部分でした。

前半は専門家よりの知識、後半から一般人向けの情報という感じになっており、全体的には「持っておいて損はない本」と感じました。

「核攻撃から身を守る方法」要点まとめ

ではここから書籍の内容の中から特に気になった部分の要点をまとめていきたいと思います。

あくまで市販されている本なので、全てをそのまま紹介するわけにはいきませんので、伝えるべき要点を絞って紹介していきますね。

熱線・爆風対策

核攻撃が行われて、爆発が起こった時の応急対処法です。

いくつかありますが、その中でとくに初動の行動について紹介してみます。

【戸外で空襲警報が鳴ったり、核爆発の閃光を察知したとき】

熱線や爆風が到達するまでの30秒から1分の間

⇒建物、地下鉄駅の構内、トンネル、地面のくぼみ、車の中や背後に身を隠す

⇒周りに隠れる場所はないときは、その場で地面に横になってうずくまり、腕や手で頭を覆う、熱線や爆風が過ぎ去るまでじっとする

⇒熱線からの火傷を防ぐために、衣類で頭や露出部を覆うこと

すべての基本は「物陰に隠れること」となっていますね。

まずは爆風そのものの威力から体を守ることが最優先すべきという感じでしょうか。

核爆発後に降りかかる放射線対策

次に爆風がやんだ後で、1時間ほどしたら発生する「放射線降下物」からの対処法です。

核爆発特有の現象で「フォールアウト」と呼ばれています。

以下にまとめていきます。

【フォールアウト対策】

・公共の避難施設や地下街、地下施設がある建物、核シェルターに避難する

・フォールアウトによる残留放射線は、厚みのあるコンクリートや土で弱めることができる

・そのために地下に退避することが最も効果的

・自宅でとどまる場合、戸外で核爆発に遭遇して退避してきたときは、それまでに身に着けていた衣服を捨てて、体を露出させていた部分を徹底的に洗い落とすこと

・放射線で汚染された食べものや水を体内に取り込まないこと

放射線の強さは時間がたてばたつほど減少していきますので、まずは地下や建物内、シェルターに避難して時を過ごすことが大事ということですね。

その際の避難期間の目安は「2,3日~2週間」としています。

核爆発後の飲料水と食料

まずもって気を付けるべきは、放射線に汚染されていないものを摂るということになります。

そのために自宅やシェルターに必要な数の食料・水を確保しておく必要があります。

この点に関しては、自然災害の防災対策として普段から備蓄してあるものでも問題ないかと思われますね。

本書では一応の目安を書いてありますので、それを以下にまとめて紹介しておきます。

【飲料水】

・一人一日当たり2,2リットルが必要

・長期保存の効くペットボトルなど

【汚染された水を飲む場合】

以下のろ過装置で汚染物質の除去が可能

①空のペットボトルのキャップに5つのじょうろ状の小穴を開ける

②ペットボトルの底をカッターナイフで切り取る

③小穴を開けたキャップを閉める

④ペットボトルを逆さにして「ティッシュ⇒小石⇒砂利⇒活性炭⇒砂⇒布」の順に詰めていく

⑤底を切り取ったペットボトルの上から汚染水を流し込む

⑥キャップの小穴から滴ってきた濾過水を煮沸処理する

【食料】

・14日分を蓄える

*これまで紹介してきた防災用の非常食で対応可能かと思われます。以下に記事リンクを貼っておくので参考にしてください。

災害用の非常食・長期保存ドリンクおすすめ【10種類】

その他の備品

書籍ではこの部分はイラストや写真でさらっと紹介されているだけでしたので、ここでも以下に簡単に箇条書きでまとめておきます。

対応する防災グッズは、それぞれの下に記事リンクもしくは商品リンクを貼っておきますので、参考にしてみてください。

【核爆発後の生活で必要な備品】

・携帯ラジオ

災害時に役立つ!手回し充電式の防災ラジオおすすめブランド【3選】

・TV

アイリスオーヤマ 55V型 4K対応 液晶テレビ 55UB10P 裏番組録画対応
アイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA)

・予備電池

長期保存できる乾電池まとめ3選【10年以上】

・缶切り

・栓抜き

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・ナイフ

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・食器

持ち運びに便利なアウトドア用食器レビュー

・温かい衣類など

災害時・アウトドアで手足を保護する「軍手・軍足」レビュー

防刃・耐切創グローブおすすめ3選

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災害時に足元を守る!防災用シューズまとめ4選

・防塵マスク(有害物質を吸い込まないため)

応急手当の知識

核爆発後の火傷や避難時に負ったケガなどの応急手当の豆知識です。

ここではとくに火傷の対処法についてまとめてみます。

・火傷

⇒患部を流水で10分から15分冷やす

⇒腫れた患部の周りの腕時計やアクセサリーなどを外し、患部への血流の循環を良くする

⇒火傷部分を石鹸や水で洗って清潔にする

⇒水ぶくれが破れていたり、皮膚に損傷がある場合は、抗生物質入りの膏薬、皮膚の鎮静作用のあるアロエローションを塗る

⇒包帯で覆う

⇒負傷者には多めに水分を取らせる

⇒痛みがひどい場合は市販の鎮静薬を与える

火傷以外の「骨折」や「擦り傷等」の対処法に関しては、書籍で確認してみてください。

核シェルターの必要性について

書籍の後半では核シェルターの緊急性について著者の自論が述べられていました。

データに基づいて各国の核シェルターの普及率を紹介していましたが、日本はぶっちぎりに少ない普及率になっていて「これはあかんな」と心底震えましたね。

実はそのくだりの記述と同じ内容が、日本の参議院の質問主意書でも触れられていて、国会でも日本の核シェルターへの意識の低さが問題になっています。

わが国で公開されている核シェルターに関する情報は、NPO法人「日本核シェルター協会」によるものしか見当たらない。同協会が二〇一四年に発表した資料によれば、各国の人口あたりの核シェルター普及率は、スイス、イスラエルが百%、ノルウェーが九十八%、アメリカが八十二%、ロシアが七十八%、イギリスが六十七%であるのに対して、日本は〇・〇二%とされる。

核シェルターの普及状況に関する質問主意書(参議院ホームページ)

0.02%というのは、ほぼ「ない」に等しいですよね。

日本はアメリカの核の傘に守られているとはいえ、それは報復攻撃としての抑止力です(撃ってきたら打ち返すぞ、という脅しで敵が攻撃を思いとどまらせる効果)

もし状況が悪化して敵からの核攻撃を受けた場合、その迎撃に失敗したときは、核爆弾の直撃を受けてしまいます。

そのときに被害を受けるのは、我々一般国民です。

かといって、民間企業が販売する核シェルターは高価すぎるのでなかなか手が出ません。

となると、自治体や国が核シェルターもしくはそれに代替するものを用意する必要があると思います。

ただ今すぐに建設を進めても、実施には時間がかかってしまうのも現実です。

そのために「今あるもの」を有効利用することが必要だということが、有識者の間でも議論がされています。

著者はそのことに関する提案を整理して本書でまとめていました。

以下にその要点を紹介しておきましょう。

・民間企業や団体がもつ地下施設を有効活用する

・地下施設を提供する企業や団体に補助金を支給する

・地方は地下施設の普及が遅れているため、新設する企業・団体には補助金を引き上げる

・個人宅で新築で核シェルターを設置した場合、何らかの優遇策を付与する

取り上げられている内容は国レベルで実施すべき「法的サポート」という感じですね。

ホームシェルターについて

個人向けの核シェルターとしては「ホームシェルター」という形で図解付きで説明されています。

【地下室や床下空間がない場合の緊急用】

・外壁や屋根から一番遠く離れた場所にスペースを作り、その周りを机や家具などで覆って囲む

【地下室がある場合の緊急用】

・地下室への出入り口から一番遠く離れたスペースに机や家具などで覆って囲む

・土や砂、レンガ、コンクリ―トブロックがある場合は、地下室の地上の外壁に盛り上げて置いて遮蔽物にする

となっています。

常設の核シェルターは長期間の避難に耐えるものが望ましく、費用も簡易式で200~300万円、本格的なものになると1千万円以上かかると言われています。

ここで先ほど挙げた、国や自治体からの「個人宅の新築の核シェルター補助金制度」が実現することによって、個人でも手軽に核シェルターを持てる日がやってくるかもしれません。

核シェルターの種類は「部屋設置型」「工事不要型」「大型施設用」「防爆・耐震・耐放射性物質・化学兵器対応型」「屋外・地下埋設対応型」「地下埋設型」の6種類が紹介されています。

核シェルターを販売する企業情報は残念ながら掲載されていませんので、もし設置を希望しているのであれば、ネット上で検索して出てくる企業に問い合わせて見積もりを取り、各社を比較して検討してみるのも良いかと思います。

まとめ

以上が今回取り上げた書籍の感想と、気になった箇所の要点まとめレビューになります。

核に関する議論は日本では長らくタブー視されてきており、そのことが核攻撃の脅威に対する意識の低さや、具体的な対策がなかなか進まない原因になっていると感じます。

今回のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、アメリカが持つ核兵器を共有する「核シェアリング」についての議論をすべきだという声が、有識者の間での中でも上がっています。

それが正しいことなのかどうなのかは分かりません。

ただきちんと議論して考えること、選択することが大事だと思います。

自然災害への防災への取り組みと同じで「危ないもの・怖いもの」から身を守る現実的な方法を考えることが、命を多く守ることにつながるのではないでしょうか。

最後になりますが、今回のレビューのもとになった本はなかなかに硬派な内容になっています。

ジャーナリストではない一般の専門家が書いたものなので、読み物としてはそこまで魅力的なものではないのかもしれません。

ただ長年、原子力の世界で生きてきた専門家としての矜持や、社会全体で核の脅威について向き合おうという熱い志は伝わってきます。

ぜひ購入して深いところまで読みこんで頂けたらと思います。

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